<夫婦間に子がいない場合>
例えば夫が先に亡くなったとすると、夫の両親は既に亡くなっていることが多いので、妻と夫の兄弟姉妹が相続人となります。残された奥さんは夫の兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければならなくなってしまいます。
遺言書を作成しておけば、この遺産分割協議を省略することができます。更に、兄弟姉妹には遺留分がないので、「妻に全財産を相続させる」という遺言書があれば、妻が全財産を相続することができます。妻の方も「夫に全財産を相続させる」という遺言書を作成しておくとよいでしょう。
<不動産を相続させたい場合>
不動産は分割しにくいものであり、相続財産が主に不動産のみの場合、特定の者が不動産をそのまま相続すると他の相続人が不満を感じています。不動産の分け方には代償分割・換価分割・現物分割とありますが、遺言で不動産の分け方を指定できます。
「遺産分割の金額別訴訟割合」を見ると相続財産が1000万円以下で約32%、5000万円以下で約75%もの多くが訴訟を起こしています。遺産分割でもめるのはお金持ちだけではないようです。

<特定の相続人に多くの財産を遺したい場合>
いつも世話してくれる相続人に多くの財産を遺したいのなら遺言書が必要です。遺言者は法定相続分にかかわらす遺言で相続人の相続分を自由に決めることができます(民902)。
しかしいくら自由に決められるとはいっても、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分がありますので、他の相続人(遺留分)に配慮した遺言書を作成することも重要です。
<相続権のない者に財産を遺したい場合>
相続権のない者に財産を遺したい場合は、遺言書が必要です。例えば、世話になっている長男の嫁に財産を遺したい場合・内縁の妻に財産を遺したい場合・寄付したい場合等です。
※相続権のない人のための特別の寄与(民1050)の制度が新設されました。
<まとめ>
遺言書が必要な場面は他にもありますが、遺言書に何を書いても遺言として有効となるものではなく、遺言として法律上の効果が生じる事項は民法その他の法律に限定的に定められています(法定遺言事項)ので、遺言書を作成する際は行政書士その他の専門家に相談しましょう。
